美酒爛漫 秋田銘醸株式会社

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酒と人 ~絆・つながり~ 訪問記

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 秋田の食文化・発酵文化を支えた【麹(こうじ)

 羽場(はば)麹店の看板女将、鈴木百合子さんを訪ねました

 

 

 美酒爛漫のふるさと湯沢市の隣町、横手市増田町は「蔵のまち」として知られています。

 

 増田町の家並は、間口が五間~七間と狭い反面、主屋・内蔵・外蔵が土間で繋がり、奥行きが五十間~百間(90m~180m)という、城下町に特有の特徴があります。明治から戦前にかけて建てられた奥に長い長方形の主屋が軒を連ねる景観を現在に留めており、訪れる人々をどこか懐かしい気持ちにしてくれます。

 

 

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 増田町の〝中七日町通り〟と呼ばれる通りに「羽場麹店」が営む《旬菜 みそ茶屋 くらを》があります。造り酒屋を改装した素敵な蔵造りのお店です。

 麹といえば、1麹、2もと、3造り、と言われるように、酒造りで最も大切なもののひとつです。麹そのものを口にすることはありませんが、 酒、味噌、醤油、漬物などに使われ、私たちの食生活には麹の発酵食品が沢山あります。

 麹による発酵食品は保存料などの添加物なしでも貯蔵性が高く、熟成が進行しておいしさが増していく特徴があります。日本酒が良い例です。日本独特の気候風土によって自然発生した「麹」は、日本の食文化を支えてきた〝縁の下の力持ち〟と言えます。

 友人の紹介で《くらを》に初めて訪れた時、なぜか懐かしい気持ちになり、おだやかにゆったりと心地よく食事が出来ました。その雰囲気もお料理も気に入って、何度か足を運ばせてもらっています。実は《くらを》に何度か足を運んだのは、優しい雰囲気とキュートな笑顔で迎えてくれる女将さんに一目惚れしたということもあります。

 割烹着姿で出迎えてくれる《旬菜 みそ茶屋 くらを》の女将さん、鈴木百合子さんにお話を伺いました。

 「羽場麹店」の四人姉弟の次女として生まれた百合子さんは、高校卒業後は福島の短大に進みました。その時に旦那さんと知り合って福島に嫁ぎ、幸せに過ごしていましたが、三十歳の時に体調を崩し、具合の悪い日が続いて生活がままならないことがあったそうです。「そんな時、無意識に〝秋田に帰りたいな〟と、何度かつぶやいていたみたいで...、親に逢いたかったのでしょうね。それを傍で見ていた主人が〝秋田へ帰ろう〟と提案してくれて、小学校の息子と三人で相談をして一大決心をし、新築した家も一切合財引き上げて、ふる里秋田に帰って来たんです」 と、当時を振り返って教えてくれました。

 食欲もなく食べることにも興味を持てなくなっていた百合子さんに、「ご飯が食べられなくても味噌汁だけは飲みなさい」とお母さんの出してくれた味噌汁。一口飲んだ瞬間、じわぁ~と体中に沁みわたってくるのを感じたそうです。〝食べることは体を作ること〟だと、小さいころから飲んでいた「麹屋の味噌汁」を飲んで気付いたそうです。〝これだ!食べたもので私の体は作られているんだ。それを積み重ねて私は出来ているんだ〟と実感したそうです。そして『今私が元気になれたのは、元気になれという〝気〟の入った親のご飯で、それが自分を満たしてくれた。この感覚を誰かに伝えて行かなければ!』と思ったそうです。

 『みそ汁に焼き魚に漬物、気付くと麹に縁のある食物。ここで私は育ったのだ。これを失くしたらダメだ』と、使命感に近いものを感じて《くらを》を開店したのです。

 内蔵のある蔵造りの雰囲気の《くらを》では、お好みで麹に漬けた魚料理、肉料理が選べます。料理が美味しいのはもちろんですが、みそ汁が絶品です。大豆1に対して麹3の割合で仕込んだ、麹の味が濃くて麹の甘みの〝特甘〟の贅沢な味噌は、百合子さんのお父さん、旦那さん、弟さんが丹精込めて仕込んだ味噌です。ひと口飲んだ時に、祖母の顔が浮かんだほど懐かしい優しい味の味噌汁は、優しい家族に守られた百合子さんだから出せた味なのだと思います。

 

《くらを》で出される「魚料理」、「肉料理」と、あめ麹を使った「甘酒」

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酒と人6.jpg 《くらを》の料理は、割烹着を着たお母さんたちが釜場で作ります。これもまた懐かしい雰囲気です。

 『美味しいものは数多あるけど、私が最後に帰ってくるのはこのスタイルだと思います』と百合子さんは言います。

 私は甘酒が苦手でしたが、《くらを》の食事の最後に出てくる甘酒は後口がすっきりとした甘さで、初めておいしいと思って飲みました《くらを》の甘酒は〝米と米麹〟だけで作り、添加物はもちろんのこと、砂糖はいっさい使っていないとのことでした。米麹は秋田県が独自に開発した「あめ麹」を使っています。この「あめ麹」は一定の基準を満たした業者しか使えません。《くらを》の甘酒 は「あめ麹」を使った商品の第1号だそうです。

 麹そのものがエネルギーを蓄えていないと甘くならず、砂糖を加えずに良い甘酒を作ることが〝麹屋の誇り〟だそうです。

  

 百合子さんは、食文化の移り変わりで麹がなくなり、『味噌なんていう調味料があった?なんて時代になったら嫌だ、絶やしたくない!と強く思い《作れる人・残す人・伝えられる人》になろうと決心した』そうです。

 観光客も右肩上がりにずっと続くとは思えないから、観光だけに頼らず時代にあった店造りも考えていかなければいけないと、先を見据えています。

 

 若い人の日本酒離れは否めません。古くから受け継がれてきた発酵食品を絶やさないよう、お客様が求めている味を提供できるように、私たちも頑張ります。

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 美酒爛漫の酒蔵見学にいらした際には、《くらを》にも足をのばしてみてください。キュートな笑顔のおかみさんが割烹着姿で迎えてくれます。

 

 

酒と人9.jpg(藤原 里実 記)

 

 

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㐂助味噌醸造元 羽場麹店

〒 019-0713 秋田県横手市増田町羽場 72

電話 0182-45-2600   FAX 0182-45-2314

 

  

旬彩 みそ茶屋 《くらを》

〒 019-0713 秋田県横手市増田町中町 64

電話 0182-45-3710

 

 

 

 

 

 

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