美酒爛漫 秋田銘醸株式会社

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abe.jpg 呑みある記   特別寄稿 安部譲二さん 

 

 

 

 僕は来年の半ばに81歳になります。十代でデビューした安室奈美恵ちゃんが来年41歳で引退するというのですから、本当に月日の流れるのは早いのです。え、僕と安室奈美恵を一緒にするな、81と41じゃ違い過ぎるだろ、ですって?ジャンルは違いますが、ほとんど同じ頃にデビューしたのですから、僕たちは同期みたいなものです。

 

 行っていない所はニュージーランドくらいで、世界中をほっつき歩いて、生き延びてこの歳になりました。

 

 そんな僕なので他人様とはちょっと変わった好みがあります。あっ、変わった好みと言っても両手が後ろに回るようなことではありません。匂いの独特な酒や食べ物が好きだということです。法律違反ではありませんから、安倍政権の法務大臣の出番はありません。

 

 僕はマイルドな匂いの仔羊のラムではなく、成熟した香りが強いマトンが大好きです。

 

 そしてパリやブリュッセルでは香りがアブサンに似たリカールを呑み、ローマやミラノでは赤くて苦いカンパリを正体がなくなるまで呑みました。臭みも苦みも、慣れて好きになると旨みに変わって離れられなくなるのです。

 

 今年の冬も寒鰤は刺身ではなくブツ切りで、京野勉さんに送っていただいた"美酒爛漫"を、寒くても熱燗ではなくヌル燗で僕は飲みます。飼い猫のウニと女房殿が監視しているので、正体がなくなるまでは呑めません。つくづくいい酒になったと、誰も褒めてくれないので自分で褒めます。

 

 「鰤と、あと蒲鉾もちょうだい」と、ウニが叫んでおでこを擦り付けてきましたが、僕はやりません。杉並警察が怒るわけじゃありません。家の財務大臣と法務大臣、それに行儀大臣も兼務している絶対専制君主の女房殿が、「ウニを食卓に上げては駄目」と言うので、僕は従うしかありません。ウニは不機嫌そうに食卓から跳び降りました。

 

 

 

 

 

 

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