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川連漆器『寿次郎』 ~ふるさとに受け継がれる職人技 と心~

2016年6月17日

 美酒爛漫の本社から車で15分ほどの距離にある湯沢市川連町は800年以上の歴史を持つ、国指定の伝統的工芸品『川連漆器』の産地です。

 鎌倉時代に刀の鞘や鎧など武具に漆を使用したのが始まりと言われ、後に椀や膳、重箱などの生活用品も作られるようになりました。生活に密着した『川連漆器』は今では地域の主要産業となっています。

  

 川連漆器は分業で成りたち、原木を成形する「木地師」、漆を塗る「塗り師」、加飾する「蒔絵師」・「沈金師」が、それぞれの作業を担います。川連町は木地作りから上塗りまでの一連を賄うことのできる数少ない産地です。 

 

  『川連漆器』の塗り師、佐藤史幸さんを訪ねてお話を伺いました。

 

IMG_9875.JPG 

 祖父が1868年に創業した、秋田・川連塗『寿次郎』の3代目である史幸さんは、高校を卒業して、石川県の輪島市にある漆芸技術研修所で5年間修業をしたのち、実家に戻り父親の元で学びました。史幸さんが修業した国と石川県と輪島市で経営する技術研修所では、人間国宝である先生の指導を受けてとても貴重な時間を過ごしたと教えてくださいました。

 『寿次郎』は、すべて天然素材の原材料を使い、塗りの下地、中塗り、上塗り(花塗り)まで、すべての工程を一貫して手作業で行う数少ない工房のひとつです。父親の指導の元で塗りの技術をさらに磨き、37歳の時に伝統工芸士の国家試験にみごと合格し、川連漆器の業界では最年少の伝統工芸士となりました。

 『寿次郎』は、創業から一貫して《不易流行》の器を作り続けています。史幸さんも、その職人の「技」と「心」を一途に引き継いでいらっしゃいます。

 《不易流行》...《不易》とは流れの中で変わらぬもの。《流行》とは変わりゆくもの。史幸さんはそれを「変えては成らぬもの、変えるべきもの」と考えているそうです。

 『近年は「流行」が先走りしていて「不易」が忘れられている気がしますが、流行と不易のバランスが大事だと思います。それが進歩ある発展になると強く意識しています。《今までも本物~これからも本物》を基本に、川連の風土の中で生まれ伝わり守られてきた伝統に新たな気持ちを吹き込みたい。麗しく思われるようなテーブルウェアを作り続けていきたい』と話してくださいました。実直さが伝わり、どんどん話に引き付けられていきます。

 一途にものづくりをしている職人の言葉は、押しつけのない説得力があります。史幸さんは、言葉通り伝統を守りながらも時代に応じたものづくりにチャレンジし、幅広いアイテムを開発しています。湯沢市は酒処ということもあって、最近はさまざまな「酒器」作りにも取り組んでいます。

 史幸さんの作品を拝見させていただきました。

  

《きのこ杯》

きのこ杯(史).jpg《5つの杯でできています》

きのこ杯5ヶ(史).jpg

 

 不老長寿を願った『きのこ杯』です。鶴・亀・松・竹・梅の縁起の良い5つの絵柄の杯を合わせると、きのこの置物になります。昔から伝わるもので、お座敷遊びに使われたそうです。中に入っているサイコロを振り、出目の絵柄の杯の酒を飲むという遊び心のある酒杯です。酒どころ湯沢にはたくさんの料亭がありました。芸子さんがお酌してくれる美酒に酔いしれる華やかな宴の風景が見えるようです。きっと宴の席を盛り上げてくれたに違いありません。

 今年に入って史幸さんは、秋田舞妓さんとのコラボで『きのこ杯』を作りました。プラチナで秋田の風物詩を描いたものです。プラチナで描かれた絵柄が漆の光沢に映えて、なんとも"粋"で素敵なものでした。

 伝統を守りながら今を感じる逸品です。

 

きのこ(プラチナ).jpg《秋田舞妓さんとのコラボ作品 「きのこ杯」の5つの杯》

 

 川連漆器は塗りの工程だけで30~50工程もあり、仕上がるまでに半年以上もかかりますが、商品によっては1年近くかかるものもあるそうです。塗っては乾燥し、研磨(研ぎ)を行い、また塗りを繰り返す地塗り(下地)と中塗りを経て、仕上げの花塗りで丁寧に仕上げるからこそ丈夫で長持ちする川連漆器が出来上がります。『花塗り』とは上塗り後、磨かずに仕上げる川連漆器独特の手法です。むらなく平滑に漆を塗り、かつ埃もつけないようにしなければいけないので気の抜けない作業で、もっとも高い技術が要求されます。漆本来のなめらかで、しっとりした肌の美しい光沢が命となります。

 『寿次郎』の漆器には、優しい柔らかい雰囲気が漂っています。

 

きのこ(代々からの).jpg

 

 私が訪れた日は下地の作業の時でした。

 『寿次郎』の下地塗りは『漆・珪藻土・砥の粉』を混ぜたものを使います。漆は、その日の天気や気温・湿度によって乾きが違うため毎日調整します。史幸さんのこだわりです。職人のこだわりプロ意識の高さを感じます。

  

IMG_9902.JPGIMG_9906.JPG

 

中塗りの途中、平滑になるように小さな凸凹に『さび漆』を塗っては乾かしの作業を繰り返します。ここでも何か月もの時間がかかります。丁寧でまじめなものづくりを感じます。

 

IMG_9966.JPGIMG_9954.JPGIMG_4589.JPG

 

静かで、おごりのない優しい口調で、たくさんのことを教えていただきました。

 ふるさとに伝わる『伝統・職人の技・ものづくりの魂』は、酒造りにも通じ、どの世界でも脈々と受け継がれていくものだと感じました。

 佐藤さんが1日の仕事の疲れを癒す晩酌は、お気に入りの川連漆器の冷酒カップで飲むのが1番だそうです。

 

IMG_9895.JPG

 

 佐藤さんの工房で、今では見られない継ぎ目のない大きな杯を拝見し記念写真を撮ってきました。

 

ふたり.JPG

 

今回もまた、ふるさとの伝統を守り続ける職人の『技』と『心』にふれる、すばらしい出逢いがありました。

(藤原里実 記)

  

 《きのこ杯》は、県の事業で今年1月に行ったフランスの視察会でのデモンストレーションが気に入られ、この春からフランスの『寿月堂』で取り扱いが始まっているそうです。

 温かみを感じる「寿次郎」の漆器にどうぞ一度ふれてみてください。

 

『 秋田・川連塗 寿次郎 』への お問い合わせは

  〒012-0105 秋田県湯沢市川連町字大舘下山王119-3

Tel 0183-42-3576  Fax 0183-42-4616

 

 

追伸:今月発行の「美酒倶楽部 季刊誌」でも佐藤さんをご紹介させていただきましたが、『さっそくお問い合わせがありました』と、佐藤さんから嬉しいご報告をいただきました。

 

 

 

 

 

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